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武夷岩茶研究所 工場訪問(焙煎室)

2013年08月25日 category : BLOG, お茶の旅 

武夷岩茶研究所 工場

武夷山駅から市内へ向かい、地元の食堂で朝ごはんをいただいた後は、すぐに武夷岩茶研究所の工場を訪問しました。ここから数日間、この工場を拠点とさせていただき、武夷山の茶畑などの見学や焙煎技術のブラッシュアップをさせていただきました。

工場では丁度最後の火入れ工程が行われている最中で、焙煎室はフル回転状態です。衛生面にとても配慮していて、ゴミひとつ落ちていない非常に綺麗な焙煎室です。

火入れの工程はこの工場長が自ら行います。とても大事な工程であるため、決して他の人には任せないというこだわりようで、サウナのような室温の焙煎室でずっと作業しています。

武夷岩茶研究所 工場

火入れは全て炭火を使用しています。
これは炭火をそのまま使用してしまうと火力が強すぎてしまうため、炭の上に灰を被せて調節しています。

炭火を使った火入れはとても手間がかかるため、最近は電気式の焙煎機を使用するところが殆どになってきてしまいました。炭火を使った火入れを行っている工場は年々減ってしまい、今では少数派になってしまったとか。
この工場では今も炭火にこだわり、上質な武夷岩茶に至っては炭を作るところから行っています。

武夷岩茶研究所 工場

火入れは荒茶の状態にもよりますが、数時間行われます。状態をみながら火入れを行った岩茶はその度に評茶を繰り返し、評茶責任者と工場長が納得するまで火入れを行っていきます。中には暫く寝かせて(後熟成)させてから再度火入れを行っていくものも多く、数ヶ月から数年かかるものもあります。

武夷岩茶は火入れの技術で全く別のお茶のように変化するお茶ですが、この工場長が火入れを行った岩茶は本当に美味しく、深みのあるお茶になります。数々の岩茶を飲んできた私たちも、この工場長が作った岩茶は別格の美味しさを持ったお茶だと思っています。それにはこうした努力と譲らないこだわりがありました。


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青獅子岩 金牡丹

武夷岩茶の中でも最もお勧めはこの青獅子岩 金牡丹です。

金牡丹は福建省農科院研究所が作出した比較的新しい品種です。非常に香り高く、味わいも良いことから評価の高い品種ではあるものの、栽培量が極めて少なく、産地である武夷山はまだしも、中国でも金牡丹という品種を知らない人の方が圧倒的に多い希少な岩茶です。
その中でも青獅子岩と呼ばれる山深い場所で作られている金牡丹です。この青獅子岩で作られる岩茶は最高の味わい、香り、岩韻を備えています。同じ品種の岩茶でも他の場所で作られた岩茶とは全く別物と言って良いほど味わいと香りの深さがあります。
産地でもまず青獅子岩の金牡丹に出会えることはありません。

慧苑坑 鉄羅漢
慧苑坑 铁罗汉(鉄羅漢)

四大名欉として知られる鉄羅漢です。
本来の生産地は福建省武夷山のなかでも慧苑坑という場所ですが、現在では生産される鉄羅漢の殆どが慧苑坑以外の場所で栽培されています。
慧苑坑とは三坑両澗と呼ばれる、ワインで言うところのグランクリュ畑。その正岩茶区の中心となる地域で作られた素晴らしい岩韻を持つ鉄羅漢です。鉄羅漢という岩茶が本当はこんなに美味しいお茶だったのかと実感していただけると思います。