桂花香型に属する郡体香です。 標高700m前後にある茶畑で育てられた樹齢200~250年ほどと思われる古樹を凰溪東郊村の友人茶農家で丁寧に製茶して作られました。現地の伝統的な栽培方法に従い、剪定は行わず、肥料も年に一度下草を刈ってそのまま鋤き込むだけ(自然と肥料になります)で栽培されています。古樹は肥料分が多いと弱ってしまいます。(最悪は枯れてしまいます。)人間でもお年寄りがたくさん食べると体調を崩してしまうのと同じです。そのため、この茶農家では古樹については年に1度の下草刈りしか行っていません。 標高だけでなく、日光の当たり具合、風の当たり具合も重要です。同じエリア、標高でも上質な茶葉が採れる場所、そうでもない場所とあります。当店では茶農家さんのおかげで良い斜面の茶畑の茶樹から採られたお茶のみを選んでいます。 ティーポット、中国式であれば蓋碗の使用が適しています。湯温は95~100℃位がお勧めです。茶壷を使ってもおいしく淹れられますが、鳳凰単欉の場合は茶壷に香りと美味しさを吸収されてしまうことが良くありますので、鳳凰単欉用に「鍛えた」茶壷を使用するなどしてください。 最初は清らかで上品な花香が、続いてバターのような乳香、香ばしい火香、果香、煎をすすめると蜜香も感じられます。バランスの良い味わいは奥深い滋味と程よいミネラル感、なんといっても清らかな粉糖を思わせる雑味のない甘味がすばらしく、さっぱりとした美味しいバターケーキを連想するようなお茶です。煎をすすめるといろいろな表情を見せてくれます。変わらないのは特徴的な甘味です。甘いだけでなく、それを支える複雑な味わいが支えることで、奥行きの深いお茶になっています。 きちんと炭火で火入れがされているため、長期間にわたって熟成を楽しむこともできる、老茶も楽しめる鳳凰単叢です。時間を経ることで、さらに味わい、香り共に深く変化していきます。 2023年春茶
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