名称	茉莉安茶
産地	中国・安徽省祁門県
種類	黒茶（後発酵茶）
等級	毛尖
茶水の色
このお茶に適した茶器	蓋碗・ティーポット・マルチティーサーバー
標準的な湯温	100℃

安茶は安徽省で作られる黒茶で、祁門紅茶と並ぶ安徽省を代表するお茶の1つとして知られています。
その歴史は古く、明代までさかのぼります。清代には貢茶として皇帝への献上茶とされていました。一時は生産が途絶えていましたが、1980年代頃から復刻しています。その安茶に同じ地元産の茉莉花（ジャスミン）の香りを移して作られた花茶です。

通常、ジャスミン茶のベースは緑茶を用います。黒茶に花を混ぜただけのお茶はありますが、伝統的な製法で黒茶をベースとしたジャスミン茶は非常に珍しく、おそらく初めての試みではないかと思います。
黒茶を専門とする店主の老師が今年初めて作りました。

（製造工程の写真です。ジャスミンの花は取り除かれています。）

窨制（ジャスミンの花の香りを茶葉に移す工程）は4回も行われています。また素晴らしいことに4回行われているのにも関わらず、茶葉から焼けたような味わいや風味はありません。（1晩花の香りを移した茶葉は加熱して乾燥させるため、回数が増えると加熱回数も増えて焼けたような味わいになることが多々あります。）茉莉香も十分にあり、高い技術を持って行われていることがわかります。

最近では改良品種を使用して作られることも多いお茶ですが、この安茶は祁門での伝統的な品種である祁門槠叶种（祁門櫧葉種）を使用して作られています。祁門櫧葉種は祁門紅茶を作る際の伝統的な品種です。
祁門櫧葉種を使用した安茶は特徴的な甘味を持ちます。祁門紅茶に通じるような優しく爽やかな甘味がとても美味しい黒茶です。小葉種から作られる黒茶に見られる微かな薬香とミネラル感とあわせて、さらり、さらりと楽しめます。加えてジャスミンの清らかな香りが素晴らしく、純粋な花茶としてのレベルも相当なものです。
夏の暑い時期でも、冬の寒い時期でも、心と身体に沁み入るような、そしてリフレッシュできるお茶に仕上がりました。

2021年春茶　2024年春に窨制

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