30年以上、お茶と茶器と付き合いを続けてきました。
最初は台湾で出会った台湾茶に始まり、やがて大陸の中国茶へ。次第にベトナムやタイ、インドネシアのお茶まで。そして忘れてはいけない日本茶も。
もちろん、ずっと順風満帆なお付き合いができていた訳でもなく、何度も失敗したり、失望したりを繰り返し、一時的に離れていたこともあります。それでも気がつけば美味しいお茶の魅力に惹かれて戻ってきていました。
そんなことを繰り返しているうちに時間は過ぎて、若いころにはただただ美味しいとだけ思って楽しんでいたお茶が思っていたよりもずっと滋味あふれるものであることに気がついたり、その奥深さに驚かされたり、お茶との付き合い方も段々と変化してきました。
次第に日本国内では満足できるお茶と出会うことが難しくなり、時間を作っては台湾や中国を中心にアジア各地をまわり美味しいお茶を探すようになりました。今ではそんなお茶を探す旅が私たちのライフワークになっています。
お茶を探す旅を繰り返していた私たちに転機が訪れたのは「あなたたちが選んだお茶を購入したい」と言ってくれた人たちとの出会いでした。
それまでは自分たちが選んだお茶を誰かにお譲りすることを考えたこともありませんでした。何週間も本当にそんなことができるのかどうか、悩み、考え続けました。そんな時、お茶を探す旅で出会った日本をはじめとする世界中の友人たちが私たちに協力を申し出てくれました。
鈴茶堂はたくさんの素敵な友人たちの協力を得て生まれることができました。美味しいお茶を可能な限りコストを下げてご提供できるよう、日本側1名、中国側1名、中国国内にある小さな姉妹店の協力で運営する小さなショップですが、それを続けて行けるのも友人たちの助けがあってこそです。
鈴茶堂では私たちが実際に楽しんでいる、心の底から美味しいと思うお茶を選んでいます。
茶器にいたっては長年の紫砂茶壷マニアの私たちが納得できる均整のとれた造形、上質な土質、使い続けられる形状を満たしたものだけをじっくり選んでいます。そして何より安心して使い続けることができるよう、信頼のできる作家あるいは工房から直接譲り受けています。そのため数を揃えることができませんが自信を持ってお勧めできるものばかりです。
鈴茶堂のお茶について
優れたワインにテロワール(Terroir)が重要なように、お茶も土壌・地形・気候などの自然環境が重要です。品質の優れたお茶は指定された自然環境で育った茶葉を原料とする必要があります。これらの自然環境は大概が厳しい環境で、標高の高い高山地帯の急斜面であったり、人が入るのすら大変な山深い土地であったりすることが多いです。
高山地帯ではその標高の高さから害虫の発生が極めて少なく、農薬の散布や化学肥料を必要としません。山深いところにある茶畑や急斜面の茶畑でもその環境の厳しさから同様です。
また、お茶の品質には摘みとり時期も非常に重要です。製茶するお茶の種類によって必要とされるお茶の成長度は異なります。優れたお茶ほど茶葉の成長度に対する基準が厳しく、摘み取り日を1日延ばしただけで品質が大きく低下してしまうことも良くあることです。非常に限られた短い期間、ほんの数日しか摘み取りに許される時間がないため、実際のところは農薬などの散布をしている余裕はありません。
指定された自然環境、適正な摘みとり時期を経た茶葉を優れた適切な技術で製茶を行うことで、はじめて品質の良いお茶が生まれます。本当に良い品質のお茶は全体生産量のわずか数パーセントと言われています。品質の良いお茶には本来、安全性での不安は存在しないものなのです。
鈴茶堂ではこの数パーセントのうち、更に厳選したお茶を扱っています。
産地からあまり流通されることのないお茶や、年間生産量がわずか10kgもない貴重なお茶、頑なに伝統的な製法を守り作り続けられたお茶などを信頼のできる生産者から譲っていただいています。
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