芝蘭香は宋代から続く名叢の1つとされ、鳳凰単叢十大花蜜香型にも挙げられる鳳凰単欉です。 標高だけでなく、日光の当たり具合、風の当たり具合も重要です。同じエリア、標高でも上質な茶葉が採れる場所、そうでもない場所とあります。当店では茶農家さんのおかげで良い斜面の茶畑の茶樹から採られたお茶のみを選んでいます。 芝蘭香は柏槇(ビャクシン)と蘭の香りを持つとされています。柏槇とはヒノキ科の針葉樹の1種で中国にあるものは日本のヒノキとは異なるそうですが、清涼感のある香りを持ちます。お酒に詳しい方はジンの香り付けに使うジュニパーベリーが取れる西洋杜松(セイヨウネズ)系の木と言えば分かりやすいかもしれません。 日常的に気軽に楽しめる芝蘭香で、かつ、芝蘭香らしい柏槇香がよく感じられる、もちろんきちんと美味しいお茶ということで、この芝蘭香を選びました。もっと高価で上質な芝蘭香も多々ありますが、コストパフォーマンスの良い芝蘭香として自信を持っておすすめできるお茶です。2023年春の製茶後はまだ荒々しさも残っていましたが、冬を越して落ち着き、これからが美味しく本領を発揮するお茶です。 ティーポット、中国式であれば蓋碗の使用が適しています。湯温は95~100℃位がお勧めです。茶壷を使ってもおいしく淹れられますが、鳳凰単欉の場合は茶壷に香りと美味しさを吸収されてしまうことが良くありますので、鳳凰単欉用に「鍛えた」茶壷を使用するなどしてください。 最初は葡萄を連想するような果香、徐々に花香と変化していきます。爽やかな甘味と果実のような優しい微かな酸味、奥行きのある滋味、ほっこりした火香と飲み飽きずにずっと楽しんでいられる芝蘭香です。清涼感のある優しい柏槇香もあり、特に湯温が下がってきてからの方が感じやすくなります。近年流行りの鳳凰単叢のような派手さはありませんが、じっくりと美味しい秀逸な芝蘭香に仕上がっています。回甘もしっかりとあり、余韻も長くお楽しみいただけます。 きちんと炭火で火入れがされているため、長期間にわたって熟成を楽しむこともできる、老茶も楽しめる鳳凰単叢です。時間を経ることで、さらに味わい、香り共に深く変化していきます。 2023年春茶
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