雲南省西双版納のミャンマー国境近くの山岳地帯では昔からお茶作りが行われています。普洱茶で知られる西双版納の中でも香り高く、味わい深い上質な普洱茶を作ることで知られる勐海、その中でも最上質な普洱茶の産地である老班章の普洱生茶です。 老班章は勐海の中でもかなり山深い場所にあります。凄まじい悪路を車で数時間走り続け、ようやく辿り着くような場所にあります。急傾斜はもちろん、路面の悪さも合わさって、普通車では辿り着くのは不可能とのこと。訪れるだけでも大変な場所ですが、非常に自然豊かで美しい場所でもあります。 山をいくつも越えて辿り着いた老班章の集落は厳しい傾斜地の間にへばりつくようにあります。古茶樹に囲まれた集落では、いたるところで製茶が行われています。山を降りることも大変なため、基本的に自給自足のような生活をしている住民が多いのも、このあたりの茶産地ならではです。小さな野菜畑や家畜を育てながら製茶を続ける生活は昔から変わっていません。 今回ご紹介するこのお茶は老班章で代々製茶を営む哈尼族(ハニ族)の高老師によるものです。高老師は伝統的な製茶方法を守りつつ、非常に論理的な方でもあり、日々より良いお茶を目指して製茶を続けています。老班章に限らず、勐海の各茶産地には高老師の教えを請う作り手も多く、また、中国国内の名だたる普洱茶の専門家も信頼し、長く取引を続けている方です。 崖のような急傾斜地にある樹齢300年以上(詳細な樹齢は不明)と思われる茶樹を特別にお願いして単一茶樹、単欉として作っていただきました。農薬はもちろん、肥料も与えずに自然のままに生きる茶樹から丁寧に摘み取り、機械を使用せずに全て手作業で作られた普洱生茶です。高老師の製茶場には揉捻機などの製茶機械はありません。基本的に老師自ら、自分の手で製茶しています。 老班章らしくパワフルでミネラル感がしっかりと感じられる普洱生茶です。雨の多い時期に作られる春茶と違い、秋茶は香りが非常に良いと言われています。それを裏付けるかのような高く深い花の香も、その味わいをより深く感じさせる1つの要因となっています。勐海の若い普洱生茶によく見られる渋みなどは感じません。強さのなかに優しさもしっかりと感じられるこのお茶は、老班章だからというだけでなく、老師の技術の高さによるものでもあります。 普洱茶は時間の経過と共に表情を変えます。今でも素晴らしく香り高く味わい深いお茶ですが、特に3年を経過した上質な普洱茶は深みを増し、同じお茶とは思えないほどに美味しく変化していきます。現在のフレッシュな味わいと共に、時間の経過による変化もお楽しみいただければと思います。 普洱生茶用に良く鍛えられた蓄熱性の高い紫砂茶壷が最適です。普洱熟茶に使用している紫砂茶壺の使用はお勧めいたしません。香りや味わいが濁ってしまいます。また、蓋碗やティーポットなどでも美味しく淹れることができます。なるべく蓄熱性のある茶器を使用してください。 |