上里古鎮
四川省へ移動して、成都で数日ゆっくりした後、まずは上里古鎮を訪れました。
上里古鎮は山間の静かな集落で、かつては雅安で作られた蔵茶をチベットまで運んだ茶馬古道の重要な宿場町の1つでした。唐代には町としてかなり栄えていたそうです。今でも明清代の橋や建物が残る古鎮で、四川省の十大古鎮の一つに指定されています。
成都から車で2時間半ほど、蒙頂山の麓の名山地域に広がる茶畑を眺めながら、まずは雅安の町へ向かいます。名山のこのあたりは標高6〜800m程度で、主に緑茶や紅茶が作られています。訪れた9月上旬のこの時期は夏の紅茶の茶摘も終わり、静かな茶畑が広がっていました。
雅安の町を過ぎて世界遺産にも指定されている碧峰峡(パンダが初めて発見された地域でパンダ繁殖基地で有名です)を抜け、険しい山の中をしばらく走ると上里古鎮に到着します。
集落に入ると広場に収穫された穀物が広げられて天日干しされているのに出会いました。この風景は上里古鎮だけでなく、名山でもあちこちで見られます。保存食として乾燥されているだけでなく、白酒の材料ともなるのだそうです。
古い建物の間に新しく作られた建物も混在して独特の雰囲気を出しています。新しく作られる建物は周囲の景観を崩さないように昔の建築様式で作られています。
比較的雅安市内やパンダ繁殖基地からアクセスしやすい場所にもあることから多くの観光客が訪れる観光地でもありますが、観光客と昔と変わらずそこで生活する人々が混在する、不思議で暖かい集落でした。
集落は川に沿って建物が続いていて昔ながらの薬屋さん、雑貨屋さん、お茶屋さんなどが並んでいます。観光地としてお土産屋さんやレストランもありますが、半分以上はこの古鎮に暮らす人々が利用する生活に密着したお店です。
観光用に保存されているように見える古い建物でも、昔と変わらずに人々が暮らしている家であったりします。
建物は古いだけでなく、非常に凝った美しい作りをしているものが多く見られます。このあたりは水に恵まれ、豊かな土地であったために農業やお茶の産地とその商業拠点としてかなり栄えました。そうして得た財を子供たちの教育に使うようになり、教育を受けた子どもたちは役人として出世したことで、当時、最先端だった建築技術を用いて邸宅を建てたそうです。
上里古鎮が五家口という別名を持つ集落であるのは、なかでも有名で壮麗な韓家、陽家、陳家、張家、許家といった名家があったからと言われています。今でもそのいくつかは残されていて見学することもできます。中には宿泊施設として利用できる建物もあります。
このあたりはは橋がとても多くあります。水に恵まれた土地であるため、上里古鎮には古代から近代にかけて十本の橋が造られているそうです。清代の乾隆帝年間に作られた二仙橋や立交橋が石造りのアーチ型でとても美しく、今も昔と変わらず使われています。
流石にもう使われてはいませんが、清代の水車小屋や川の流れを利用して動く石臼の粉挽き小屋なども見学できます。
古鎮を川沿いに奥へと歩いて行くと茶座が並んでいます。茶座というのは四川省のあちこちで見られる青茶茶館です。成都市内では公園や寺院などに、雅安などでは川沿いなどの景色の良いところに設置されていて、お茶を楽しみながらトランプやお喋り、読書をする地元の方々でいつも賑わっています。素敵な習慣ですね。
私たちも茶座でお茶をいただきながら一休み。このあたりで作られる蒙頂甘露や蒙頂黄芽などを楽しみました。
伝統的な四川紅茶の製法を何年もかけて研究して生まれた四川高山紅茶です。
一般的な四川紅茶よりももっと香り高く深い甘みを持つこの紅茶は、鈴茶堂でも人気のあるお茶の1つです。
天然の茶葉の香りとは思えないほどの香りと、砂糖を入れていないとは思えないほどの甘い紅茶を是非おためしください。
蒙頂山で栽培された茶葉を使って丁寧に作られた蒙頂甘露に
四川省はもちろん、中国大陸でも最も品質の良い四川省楽山市のジャスミンの花を厳選して
丁寧に香りを移したジャスミン茶です。
ベースとなるお茶はもちろん、使われるジャスミンの花にもこだわり抜いて作られた美味しいジャスミン茶です。
君子蘭の香りを丁寧に移した、とてもめずらしい花茶です。
このお茶のベースにも、ここ蒙頂山で作られた蒙頂甘露が使われています。
花茶が苦手な方や男性の方がハマってしまう、不思議なお茶です。
prev あけましておめでとうございます | 蔵茶博物館 next |