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正山小種の産地 武夷山桐木訪問

2013/10/10

龍鳳谷景区

武夷山の茶産地訪問の最後は正山小種の産地、桐木村を訪問しました。

桐木村は武夷山星村鎮桐木関と呼ばれる地名ですが、実際は岩茶を作っている「武夷山」からは5~60キロ離れた場所にあります。片道車で2時間はかかる場所で、九曲渓の遥か上流に位置しています。
この地域は国家級自然保護地区に指定され、数年前から外国人の立ち入りが禁止されています。中国人は保護地区内から招待があれば入ることができます。手前にある龍鳳谷景区までは誰でも行くことができますが、その先の桐木関へはゲートがあり招待の有無と身分証明書のチェックがあります。今回、私たちがお世話になっている作り手さんのご好意で特別に招待していただきました。もちろん、外国人であることは周囲に秘密の訪問です。

ゲートの中には小規模の昔ながらの製茶場から近代的な工場などが急勾配の山道沿いにポツポツと建っていました。私たちがお世話になっている作り手さんはその中でもかなり標高の高い場所に製茶場を持っているため、更に山道を車で登っていきます。

ゲートを過ぎてすぐの頃は道沿いの茶畑も急傾斜ではあるものの、私たちの良く知っている「茶畑」といった感じが多く続いています。これらの半分近くは水仙種の茶樹です。
通常、正山小種の殆どは古来から桐木にある在来の茶樹(桐木奇种と呼ばれていましたが実際には複数の名称で呼ばれる様です)と中葉種の水仙の両方をブレンドして作られています。これは在来種の採取量が少なく、非常に繊細な味わいの品種のため、在来種のみで作られた紅茶は味わいの深みを出すことが難しいという理由です。

桐木 正山小種茶畑

ようやく目的の作り手さんの製茶場に到着しました。標高1000mを越える場所で、先ほどまで真夏のように暑かったのが嘘のように寒いと感じるほどの気温です。
製茶場の周囲は茶畑に囲まれていますが、茶畑といっても写真の様な状態です。シュロの根元に生えている背の低い植物が茶樹で、全て在来種になります。樹齢100年は軽く越えているだろうとのことでした。元々、遥か昔からこの地にあった茶畑で、詳細は分からないとのことでした。農薬は当然ながら肥料すら与えていないそうです。

審評室

まずは製茶場の審評室で今年の正山小種、妃子笑、金駿眉などの評茶をさせていただきました。

この作り手さんは金駿眉の製法を作り出したメンバーのお一人で、日本でも中国茶の書籍で紹介されていることもあるような方です。とても品質には厳しく、お茶の審評は欠かせません。オランダ王室をはじめ、ヨーロッパ王室向けの正山小種を任されていて、壁にはEUをはじめとした各国の有機認証の証書が飾られています。
普通ならこんな親しくさせていただくことはもちろん、お話させていただくのも難しいような方なのですが本当に良くしていただいています。この日は試作中の新しい製法で作られた紅茶も試飲させていただきました。

正山小種工場

数時間、たくさんのお茶をいただき、色々なお話をさせていただいた後は製茶場を見せていただきました。

この建物は正山小種ではスタンダードなものです。
少し地面を掘り下げて作られている1階部分に窯があります。写真では薪が積み上げられている所の丁度後ろの部分です。その窯で松材の薪を使って火を炊きます。植物の伐採が禁止されているこの地域では薪となる松の伐採も禁止されているため、薪は全て保護地区外から運んでくるそうです。
その上、人が休憩している後ろで茶葉を燻します。製茶の工程にあわせて必要とする温度が変わります。そのため茶葉は工程によって2階、3階と移動していきます。内部の床は薪を燃やした煙が上りやすいように板を渡しただけのような簡素な作りになっています。

正山小種工場

ちょうど訪れた日にも製茶を行っていました。製茶場にある小さな扉を開けると煙が充満している中に茶葉があります。まさにモルトウィスキーでいうところのフロアモルティングです。外からの光が届く範囲以外は真っ暗で何も見えません。その上、内部は長年の製茶によって煤で真っ黒になっています。

この茶葉はこの地で摘み取られたものですが、実際には桐木以外の地で摘み取られた茶葉を持ち込み、桐木の正山小種として流通するケースが多いそうです。実際、桐木は険しい山間にひっそりとあるような場所で、決して茶畑が作りやすいとは言えません。また、自然保護地区に指定されてからは既にある茶畑以外、新たに茶畑を作ることは禁止されています。そのような事情もあって生産量を増やすことは難しいようです。

この地で育った在来種のみを使った正山小種はとても優しく柔らかいお茶です。私たちが普段知っている正山小種とは全く違う繊細な味わいと香りで、同じ「正山小種」とは思えません。


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伝統 正山小種

この作り手さんが作った正山小種です。
通常、正山小種の殆どは古来から桐木にある在来種と中葉種の水仙の両方をブレンドして作られています。これは在来種の採取量が少ないということ、非常に繊細な味わいの品種で在来種のみで作られた紅茶は味わいの深みを出すことが難しいという理由です。
この正山小種は桐木の中でも標高1000mを越える地域に昔からある樹齢100年を越える在来種からのみ作られています。通常であれば繊細すぎる味わいに仕上がってしまうことが多々ありますが、名人ともいえる作り手の技術で繊細さを持ちながら非常に上品で滋味深い紅茶になっています。

また、正山小種と言えば独特の焙煎香が挙げられますが、輸出用には追加焙煎を行って非常に強い香りをつけています。そのような追加焙煎を行わない中国国内流通用の上質な正山小種でも出荷先地域によって香り付けの程度が異なります。華北方面は強めに、華南方面は弱めにというように調節されていますが、この正山小種はそのような調節を行わないこの地域本来の香りで仕上げています。

中国国内流通向けの伝統的製法の味わいの濃い正山小種もございます。
(在来種・水仙種使用)
正山小種

また、使用品種の違いを比較しやすいお得なセットもご用意しました。
正山小種 テイスティングセット

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金駿眉

価格が上昇しすぎてしまって入荷する予定はなかったのですが、今回は少量ですが入荷しました。
これは金駿眉を最初に作り出した作り手の1人から譲り受けたもので、生産地の桐木の中でも標高1200m以上の高地で採取した樹齢100年を超える野生茶樹の茶葉から作られたものです。
本物の金駿眉を飲んでみたいという方からのお問い合わせが多く、今回、作り手が保管していた分を少量分けていただきました。作出した本人自ら製茶したオリジナルの金駿眉です。


10月27日から11月21日、11月23日から11月30日までのあいだ、中国および台湾へ出張・研修のため、発送業務をお休みさせていただきます。
かなり長期に渡るお休みとなります。ご迷惑、ご不便をおかけして申し訳ありません。

10月25日21時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文、銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は同じく10月25日中に入金確認ができたご注文を10月26日に発送させていただきます。それ以降のご注文は11月22日または12月1日以降の発送となります。

11月は発送可能日が22日のみとなっております。ご注文が集中した場合は22日に発送できない場合もございます。その場合はメールにてご連絡、ご相談させていただきます。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。ネット接続環境が不明な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で5日程度のお時間をいただくことも予想されます。

ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

武夷山 茶農家さん訪問

2013/10/5

武夷山 茶農家さん訪問

お世話になっている武夷岩茶研究所の工場の他にも、茶農家さんも訪問させていただきました。
武夷山が世界遺産に指定されて保護景観地区の指定が行われる前までは天心岩の方にお住まいだったのですが、現在は保護景観地区内に居住することは基本的に許されていないため、以前の場所とは離れた場所に村が移動しています。

こうした「岩茶村」というのはいくつかあるようです。武夷宮からそれほど離れていない大王峰の見える訪れやすい場所にある岩茶村は観光客向けの看板が出ていたりするために目につきますが、それ以外にも看板すら出ていないような保護景観地区外の山間部に小さな集落として岩茶村が点在していたりします。私たちが訪れたこの茶農家さんも、そういった注意していないと見落としてしまいそうな小さな集落にあります。歩いているのは人よりも鶏の方が多いような、静かで小さな村です。

武夷山 茶農家さん訪問

こちらでも最終焙煎工程で忙しくしていました。
この茶農家さんは牛蘭坑と宝国岩の間にある険しい場所に茶畑を持っていて、そこで摘まれた茶葉から作られた岩茶はとても力強く滋味深い優しい岩茶になります。家族で製茶をしている小さな茶農家さんですが製茶設備はしっかりしています。お世辞にも立派とは言えない自宅兼製茶場の中には古いけれど綺麗に使われている製茶機械が並んでいます。

武夷山 茶農家さん訪問

この茶農家さんでは正岩地区以外の半岩地区、外山地区でとれる茶葉も扱っています。基本的に炭焙煎は行っていませんが、正岩地区の品質の良い茶葉は昔ながらの炭焙煎を行います。その際は炭から作る程のこだわりようで、製茶場の外には炭を作るための木材が積み上げられています。

武夷山 茶農家さん訪問

製茶場を見学させていただいた後は今年の岩茶の審評を行わせていただきました。この時ばかりは90歳になろうかという先代、お爺ちゃんも一緒です。様々な岩茶を確認させていただきましたが、今年は水仙の出来が特に良かったようで、とても気に入った岩茶に出合いました。ただし、非常にパワフルな水仙でしたので、こちらはまだ熟成を行っていただいています。みなさまにご紹介できるのは、まだ当分先になりそうです。


新入荷した鉄観音老茶、ご好評をいただいております。
中でも一番のお勧めはこちらの中国と台湾にまたがって作られた絶品の鉄観音です。

鐵觀音茶王
鐵觀音茶王

鉄観音発祥の地、中国福建省安渓の西坪で無農薬・有機栽培で大切に育てられた茶葉を使い、高い製茶技術を持つ作り手が丁寧に作った鉄観音を台湾の凍頂烏龍茶で有名な南投県凍頂へ運び、熟練した焙煎技術者によって焙煎、後熟成を行った非常に贅沢な鉄観音老茶です。
私たちが師事する台湾の高名な茶人が自ら福建省まで赴き、茶摘みから監修して作り上げた最高の鉄観音です。

3年間ゆっくりと火入れを行いながら熟成させてきた、言わば「好いとこ取り」の傑作となりました。

凄みを感じるほどに滋味深く、柔らかく、華やかな鉄観音です。

四川高山紅茶
四川高山紅茶

ちょっと寒いような秋の日には甘くてコクのある紅茶がとても美味しく感じられます。

中国の四川省・蒙頂山主峰で栽培された茶葉を使用して丁寧に作られた紅茶です。四川省の紅茶と言うと聞きなれない方も多くいらっしゃるのではないでしょうか?四川省の紅茶という意味で「川紅」(センホン)と呼ばれる、あまり見かけない希少な紅茶です。

ティーポットで、中国式であれば茶壷や蓋碗で淹れてみてください。
綺麗な透明度の高い褐色の紅茶です。
花の香りと香ばしさ、濃厚に深く甘い果実の香りをしっかり感じることができますが、自然の茶葉だけの香りというのですから驚きです。味は深みのある濃厚な甘さと旨みをしっかりと感じていただけます。

体の中から優しく暖まるような本当に美味しい紅茶です。


10月27日から11月21日、11月23日から11月30日までのあいだ、中国および台湾へ出張・研修のため、発送業務をお休みさせていただきます。
かなり長期に渡るお休みとなります。ご迷惑、ご不便をおかけして申し訳ありません。

10月25日21時までにクレジットカード・代金引換によるお支払い方法をお選びいただいたご注文、銀行振込やゆうちょ銀行送金などのお支払い方法をお選びいただいた場合は同じく10月25日中に入金確認ができたご注文を10月26日に発送させていただきます。それ以降のご注文は11月22日または12月1日以降の発送となります。

11月は発送可能日が22日のみとなっております。ご注文が集中した場合は22日に発送できない場合もございます。その場合はメールにてご連絡、ご相談させていただきます。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。ネット接続環境が不明な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で5日程度のお時間をいただくことも予想されます。

ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

武夷遇林亭窯址

2013/10/1

武夷遇林亭窯址

武夷山では茶畑や製茶場の見学、焙煎技術のブラッシュアップの他に武夷遇林亭窯址の見学にも行ってきました。川下りで有名な武夷山九曲渓の北側、星村から5キロほどの山間の静かな場所にその遺跡があります。

遇林亭窯址は中国でも最大規模、非常に状態のよい宋代古窯跡として1950年代に発見されました。同じく福建省建陽県水吉鎮にある建窯と同じ系統の陶窯と言われています。お茶好きの方なら多くの方がご存じとは思いますが、建窯は天目茶碗が作られていたとされる有名な窯です。この建窯と遇林亭窯址はそれほど離れた場所にある訳ではありません。この遇林亭窯址でも同様に黒釉の天目茶碗が作られていたとされ、この遇林亭窯址以外にもこのあたりでは小規模ではあるものの同様の古窯跡がいくつか発見されています。

武夷遇林亭窯址

これらの窯で作られた器は黒釉、烏泥釉と呼ばれる黒い釉薬を施した天目茶碗が有名です。主に油滴天目や灰被天目、最も有名なのは日本の国宝に指定されている曜変天目が作られていたと言われています。
曜変天目がこの遇林亭窯で作られていたかどうかは分かりませんが(可能性は低そうです)、あの美しい器が作られた場所はこの地かもしれないと想像することができるだけでもお茶好きには楽しい窯跡です。

窯跡の周囲は綺麗に整備されていて、美しい公園のようになっています。すぐそばには綺麗な水が流れていて、鉱物を含んだ作陶にとって豊かな土、窯の燃料とすることができる木材が豊富な山間地、作りだした陶器を運搬する水路となる九曲渓のあるこの地形は窯を設けるのに適していた地形であるということが容易に理解できます。

武夷遇林亭窯址

遇林亭窯址は1号窯と2号窯の1つの窯が発見されています。
1号窯は山の斜面を利用して作られている龍窯(中国式の登り窯)と呼ばれるタイプの窯です。全長73m以上にもなる巨大な窯は一度に5万個の器を焼くことができたそうです。
現在はこのように屋根が付けられていて窯頭から窯尾までは両脇に設けられた階段で見学できるようになっています。

2号窯は同じく龍窯ですが、更に大きく、全長113m以上にもなります。こちらは一度に8万個の器を焼くことができたとか。ここまで大きいと流石に窯尾まで行くのは一苦労です。

武夷遇林亭窯址

発見された器の多くは黒釉だったそうですが、中には青白釉の器や金銀彩が施された破片などもあったそうです。

観光シーズンを外していたからか、私たちの他には誰もいない状態で、ゆっくりと遺跡を見学することができました。残念ながら資料館と思われる建物は閉館されてしまっている状態で出土品などを見ることはできませんでしたが、器好きとしては龍窯跡を実際に見ることができただけでも嬉しい訪問でした。


すっかり季節も秋になりました。爽やかな秋にぴったりのお茶をご紹介します。

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伝統 漳平水仙 2013年

中国・福建省の漳平市という場所で伝統的に作られている烏龍茶です。
その形はとても珍しい固形の烏龍茶で、四角い茶餅の形をしています。

中国の茶商さんですら知らない人が殆どという流通の少ない珍しいお茶で、私たちは何年もこの漳平水仙を作る茶農家さんを探していました。やっと納得いく品質の漳平水仙を作る茶農家さんとのご縁ができ、昨年からご紹介させていただいています。

爽やかな香りと味を持つお茶です。普通にお湯で淹れるのはもちろん、アイスティーにしたり、水出しにしても美味しくお楽しみいただけます。

非常に煎が続くのも特徴で、通常の淹れ方であれば15煎以上は楽しめます。私たちの場合は2日にかけて楽しんだり、お湯で普通に淹れた後に水出しにして楽しんだりしています。それでも茶葉が多すぎるという場合は千枚通しなどで茶葉を砕かないように、注意しながら半量程度の大きさに固形茶を崩してお使いください。

こちらは伝統的な製法を守って作られているものです。

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桂花 漳平水仙 2013年

漳平水仙には桂花香型と花香型とありますが、この漳平水仙は金木犀の花の香りを持つ桂花香型になります。
ふわっとむせ返るように出てくる金木犀の香りが見事な落ち着きのある香りを持ち、甘く、柔らかい味と旨味、複雑なミネラル感が印象的です。2013年はとても綺麗に香りが出ています。

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漳平水仙 紅茶 2013年

漳平水仙紅茶も入荷しております!

烏龍茶の漳平水仙よりも実は人気の高い紅茶ですが、昨年は予想以上に早く完売してしまい、ご不便をおかけしました。
今年も入荷しております。
紅茶も今年はとても美味しく仕上がっています。


10月27日から11月21日、11月23日から11月30日までのあいだ、中国および台湾へ出張・研修のため、発送業務をお休みさせていただきます。
長期間にわたるお休み、大変申し訳ありません。

発送業務をお休みさせていただいている期間も、ご注文は変わらずお受けいたしておりますが、ご注文確認のメールやお問い合わせの返信メールなどにいつもより少しお時間をいただく場合がございます。ネット接続環境が不明な場所へも行くことを予定しておりますため、ご返信などに最長で5日程度のお時間をいただくことも予想されます。

ご不便をおかけしますが、どうぞご了承いただけますようお願いいたします。

武夷山市茶葉研究所と天遊峰、桃源洞茶区

2013/9/20

武夷山市茶葉研究所

御茶園のすぐ近くには武夷山市茶葉研究所があります。ここでは研究所の所長さんにお会いしてお話を伺うことができました。

この研究所では茶樹品種の保存や新品種の開発などが行われています。この場所だけでも100種類以上の茶樹が植えられているそうです。種の保存と美味しく作りやすい品種への改良は農産物を扱う上では本当に大事なことで、沢山の人の日々の努力によって私たちが美味しいお茶を今も楽しむことができるのだなと改めて実感しました。

その茶畑の奥には古い昔からの製茶所があります。ここで作られた岩茶は研究所と同じ系列の武夷星茶業から販売もされています。(当店では武夷山市茶葉研究所および武夷星茶業の岩茶のお取り扱いはしておりません。)

天遊峰

研究所の先には武夷山の中でも有名な天遊峰があります。巨大な一枚岩で出来ている岩山で、その大きさはアジアで1番の大きさだそうです。武夷山観光では必ず訪れる一番の観光地ですが、この天遊峰にも茶畑があります。

写真はその天遊峰の頂上から見た武夷山の景色です。写真ではとても分かりにくいですが、下の方にこれから天遊峰に登ってくる人が米粒のような大きさで写っています。これが一枚岩とは思えないほどの大きさに圧倒されます。

観光コースから見ると天遊峰の正面、多くは後ろの方にある桃源洞と呼ばれる場所にあります。

桃源洞茶区

この写真はかなり山を下ってきた場所にある茶畑です。もちろん頂上に近い場所にも茶畑があり、実際にはそちらの方が品質が良いとされています。頂上に近い場所の茶畑でも写真を撮っていたのですが、岩に挟まれているような地形で眺望が全くなく、どこの茶区の写真なのか分からないような状態で・・・山を少し下ってくるとこうして眺望が開けてきます。

桃源洞でも様々な品種のお茶が栽培されています。肉桂や水仙はもちろん、鉄羅漢や水金亀などもありました。


凍頂烏龍茶 2013年春茶
凍頂烏龍茶 2013年春茶

鈴茶堂がイチオシの作り手による凍頂烏龍茶です。
近年主流の焙煎の浅いタイプではなく伝統的な製法を守って作られた凍頂烏龍茶になります。

日本人にとって凍頂烏龍茶は馴染みがありすぎて「当たり前のお茶」と思われてしまっているかもしれません。本当はとても美味しい滋味あふれる基本でありながら、とても高度な技術が必要なお茶です。

最近はベトナムなどで作られた茶葉を持ち込んで作った安価な「凍頂烏龍茶」が多く流通していますが、凍頂の地で栽培された茶葉を使い、技術のある作り手がきちんと作った凍頂烏龍茶は全く美味しさが違います。この凍頂烏龍茶は代々この地で製茶を営んできた作り手が伝統的な製法を頑なに守って製茶したものです。その味わいは滋味深く、本来の凍頂烏龍茶そのものです。

この作り手の凍頂烏龍茶には実質的な賞味期限はありません。
非常に製茶技術と焙煎技術が高いため一般的な烏龍茶よりも水分量が少なく、年月を経ることで後熟成が進み、柔らかさや味の深みがどんどん増してきます。湿度と匂い移り、高温を避けて保存していただければ10年と長く楽しめるものです。

特級 蒙頂黄芽
特級 蒙頂黄芽

黄茶は皇帝献上茶として珍重されてきましたが、生産数が少なく、今ではなかなか見つけられない貴重なお茶です。独特の風味をもつものが多く、好みが大きく分かれるお茶でもあるのですが、この蒙頂黄芽は誰もが美味しいと思うような品格のある黄茶に仕上がっています。
この蒙頂黄芽を作っている作り手さんはとても真摯で真面目な方で、農閑期には大学で製茶について教鞭を取っています。その作り手さんが蒙頂黄芽をより美味しくするために研究して作りだしたお茶です。伝統的な製法を守りながらも技術を少しずつ改善していった集大成ともいえるこの蒙頂黄芽は、私たちが知っているどの黄茶よりも遥かに美味しいお茶になっていました。

香ばしさを感じる甘く爽やかなお茶です。リピートされる方も多く、隠れた人気商品です。
まだ夏の残り香を感じるような秋の日にお勧めのお茶です。


10月のお茶会には多くの方のお申込みをいただき、どうもありがとうございました。
おかげさまで満席となりました。

当初予定していた人数の倍以上までお席を増やしておりますので、当日はお席によって茶席が見えにくいといったこともあるかと思いますが、1人でも多くご希望の方にお茶を楽しんでいただこうと思っておりますので、どうぞご了承いただければと思います。
満席後、お申込みいただいた方には本当に申し訳ありません。また次回のお茶会の際、お申込みいただければ幸いです。

武夷山 御茶園

2013/9/16

武夷山 御茶園

武夷山滞在中は主に午前中は各地の茶畑を見学させていただき、午後は工場で焙煎のブラッシュアップや色々な作り手さんを訪問したりと沢山の経験をさせていただきました。

こちらは御茶园(御茶園)と呼ばれる場所です。
御茶园というのは武夷山の皇帝専用の茶園で、宋、元、明代の皇家焙茶局が管理していた畑です。かつてはここで龙团凤饼(龍団凰餅)も作られ、現在も200種類以上の茶樹が植えられています。

武夷山 御茶園

武夷山市茶叶科学研究所(武夷山市茶葉科学研究所)の販売部門である武夷星茶業有限公司という会社が管理しています。この会社は武夷山はもちろん、中国各地や香港にも沢山の支店を持つ大きな会社ですので、ご存知のかたも多いと思います。
この御茶園で栽培された茶葉から作られた岩茶も販売されていました。(前回のお茶会でオマケで淹れさせていただいた小紅袍はこの御茶園のものです。)

武夷山 御茶園

御茶園全体はなだらかな傾斜になっています。茶畑は段々畑のように石垣で区分けされた中にあります。ブロックごとに植えられている茶樹の品種が異なっていて、ちょっとした品種博物館のようになっていました。

この敷地内には武夷星茶業の茶館もあります。観光シーズンではないこの時期は営業を行っていないようでしたが、スタッフの方に声をかけると中を見学させていただけます。中には茶館としてのスペースの他に昔の製茶道具や製茶風景の写真などが展示されています。


まだ残暑が厳しいですが、少しずつ秋の気配が感じられるようになってきました。先日入荷した紅茶が大変ご好評いただいております。

伝統 九曲紅梅
伝統 九曲紅梅

大湖山で栽培された伝統的な品種である鳩坑小葉種を使用し、昔ながらの製法を守って作られています。
とても技術の高い、現地では非常に有名な作り手が全て手作業で機械を使わずに作ったとても上質な九曲紅梅です。

もう1つの九曲紅梅は珍しい奇蘭種を使って作られたものです。

九曲紅梅 奇蘭
九曲紅梅 奇蘭

中国茶に詳しい方は奇蘭と聞いて不思議に思われると思います。
奇蘭は福建省などにある青茶(烏龍茶)の茶樹品種です。この九曲紅梅に使われているのは台湾の奇蘭種です。
かつて、この地でお茶作りをしようとした台湾人が持ち込み植えたまま放置されている奇蘭の茶畑があり、その半野生化した茶畑から摘み取って作ったものがこの九曲紅梅です。

奇蘭種の方はスポット的なお取り扱いになりますので追加入荷の予定は今のところありません。
生産量が少ないため、今後の輸入予定も未定です。

四川高山紅茶
四川高山紅茶

品切れが続き、ご迷惑をおかけしていた四川高山紅茶が入荷しました。
当店でも一番人気の四川高山紅茶です。

今年4月の四川省雅安大地震では製茶所も被害を受け、紅茶の生産も危ぶまれていましたが、何とか自分たちで製茶所を直しながら製茶を行ったそうです。(本格的な修復も製茶のシーズンが終わったため、ようやく始まったそうです。)

現在も当店では四川のお茶の売上げの一部を地震の義捐金として寄付させていただいております。
そのお礼として今回、茶業さんからの仕入れ価格を下げていただき、以前よりもお求め安いお値段でご提供できることになりました。

流香澗と大紅袍母樹

2013/9/10

 流香澗

慧苑寺を過ぎた後も再び観光用ルートから外れて歩いていきます。まずは流香澗にある茶畑を目指していきます。

武夷山は非常に水に恵まれている場所です。至る所に清流が流れていて、霧も多く、気温が温暖(暑い位でしたが)、まさにお茶栽培には最適といった環境です。そんな環境に恵まれているので当然ながら湿度も高いのですが、ふと植えられているお茶の木に目をやるとこんな状態になっているのに気が付きました。

茶樹

苔がびっしりとお茶の木に生えています。

大きな木などでは見たことがありますが、流石に幹や枝の細いお茶の木でこのようにびっしりと苔が生えるというのは初めて見ました。それだけ温暖で湿度の高い環境にあるのだなと実感させられました。
確かに正岩地区の多くは土があっても豊富とは言えず、保水性も高いとは思えない土質です。これほど降雨や霧といった「水」に恵まれていなければ、険しい岩山での茶樹栽培はもっと厳しいものがあったと思います。環境というのは本当に重要で影響のある要素なんですね。

 流香澗

流香澗の茶畑に到着です。とても静かな谷間で、「清らか」というイメージがぴったりの場所でした。
谷間を抜ける風が心地よく、観光コースを殆ど歩いて来なかったために相当辛い思いをしてこの場所まで来たのですが、そんなこともどうでも良いと思えるほどに心地よく美しい場所です。

流香澗から山を1つ超えると大紅袍母樹があります。

大紅袍母樹

「大紅袍母樹」という言葉から大きな茶樹を連想される方が多いようですが、実際は大木という大きさの茶樹ではありません。決して太いとは言えない茶樹が6本密集して岩棚に生えています。3本、4本という説もありますが、武夷岩茶研究所の方のお話では6本ということでした。実際には近寄って確認することができませんので確認はできませんでしたが、現地の茶業さんや福建省の研究者の方の殆どが6本という認識のようです。

これらの茶樹は奇丹、北斗、雀舌といった品種から構成されています。奇丹、雀舌は現在流通している岩茶と同じ品種であると言われています。北斗は一般的に流通するものとは違い(北斗をもとに改良された北斗一号という品種です。)同じ品種のものは野生北斗と言う品種名で流通量としては少ないですが、他の場所でも栽培されています。

九龍窠

この大紅袍母樹のすぐ近く、九龍窠にも所有する茶畑があるとのことで見せていただきました。観光コースからすぐ脇は大手メーカーの茶畑になっていますが、その奥の険しい岩山の谷間に奇丹の茶畑があります。ここの奇丹は本当に素晴らしい深みのある味わいと香りで、先日のAfter Tasteさんで行ったお茶会のお土産として参加された方にはお渡しさせていただきました。


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流香澗 雀舌

武夷天心岩の岩壁に数本だけ生えている大紅袍母樹の1つに起源する岩茶で、ここ流香澗で作られた雀舌です。
雀舌は正岩茶区、半岩茶区、外山茶区を問わず数多く作られている品種ですが、流香澗で育てられたこの岩茶はそれらと同じ雀舌とは思えないほどに品格を感じる落ち着いた華やかさを持つ岩茶です。

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政和 野生白牡丹

白茶がこんなに香り高くて美味しかったんだと、リピートされる方も多い白牡丹です。
驚くほどに美味しい白茶です。

この野生白牡丹は山中にある野生茶樹から作られています。この地で白茶を作り続けている作り手が自家用にと山中に入って摘み取り、製茶したものを分けていただきました。貴重で大変手間のかかるお茶であるため、一般には流通させていないものですが、この作り手さんとは長年の友人でもあり、当店にならと譲っていただきました。
無農薬はもちろん、肥料すら施されていない純粋な野生茶です。

白茶は夏向きのお茶と言われますが、夏以外にも美味しいお茶です。特に味わいに深みのあるこの野生白牡丹は爽やかな紅茶のような美味しさを持っています。ちょっと一息つきたい時にゆっくりと味わっていただきたいお茶です。


10月のお茶会、既に多くの方にお申し込みいただいております。ありがとうございます!
残席僅かとなっておりますので、参加ご希望の方はお早めにご予約ください。

10月のお茶会は中国紅茶がテーマです。

様々なタイプ、希少な紅茶などを中心に、After Taste自慢のデザートと共にお楽しみください。

お茶についてのお話はもちろん、お茶を探して各国を回っているお茶の旅について、ご希望があれば美味しいお茶の淹れ方など、自由にみなさまと楽しみたいと思います。

日時 2013年10月14日(月曜・祝日)13時~15時
場所 Bistro&Bar After Taste
東京都新宿区新宿3-28-16 新宿コルネやまとビル5F
03-6273-2001
新宿駅 徒歩2分 / 新宿三丁目駅 A5出口 徒歩1分
料金 2500円(お茶3種以上・デザート・お土産つき)
ご予約 お席に限りがありますため、10月11日までにAfter Taste店舗までご予約ください
( 03-6273-2001)

おかげさまで満席となりました!

武夷山 慧苑茶区

2013/9/7

鹰嘴岩

水簾洞から観光用の遊歩道を外れて様々な種類の茶畑を見せていただきました。
歩くのもやっとという位の山道、しかも岩山で傾斜もきつく、水の多い武夷山は足元も水で濡れて滑りやすく怖い場所もいくつかありました。
私たちは歩くのがやっとという道でしたが、茶業さんたちはここでチャノキを育て、お茶を摘み、製茶所まで運んでいく山道です。正岩茶、中でも良い茶区とされている場所の岩茶が高価なのは生産量の少なさはもちろんですが、こうした厳しい環境での作業ということもあるのだと実感させられました。

ここで一旦観光用遊歩道へ戻って先を進むことに。鷹嘴岩の横を通って先に進みます。

鷹嘴岩は武夷山の見どころとして有名ですが、この周囲の茶区も優秀で上質な茶葉が採れる場所として知られています。

武夷山 慧苑

綺麗な水が流れる川沿いを歩いていきます。
色々と環境問題が問いただされる中国ですが、武夷山は本当に水が綺麗な場所でした。この小川にも小さな魚が沢山泳いでいて、後日食事でいただきましたが、全く臭みもなく美味しい魚でした。

そのまま小川と茶畑を眺めながら歩いて行くと慧苑茶区に入っていきます。

慧苑寺

慧苑寺という古くからあるお寺の周囲が慧苑茶区です。
白鶏冠の発祥地と言われている慧苑寺がここになりますが、お寺自体は人の気配もなく古くからあるそのままの状態といった感じで静かにありました。
お寺の周囲ももちろん茶畑が広がっています。白鶏冠はそれほどでもなく、肉桂や水仙がここでも多く栽培されていました。

慧苑茶区

慧苑茶区の茶畑です。お茶に興味が無い人が見たら単なる荒れ地にされてしまいそうな茶畑です。
三坑两涧の1つ、慧苑坑は最上質の岩茶の産地として有名な場所です。地形が非常に厳しい場所も多く、ここでも歩くだけで精一杯といった山道の奥まで茶畑が広がってました。

ここでは肉桂と老欉水仙の茶畑を見学させていただきました。(この老欉水仙は年末か年明けにはご紹介させていただく予定です。)他にも樹齢100年を超えた老欉水仙も見せていただき、その老欉が持つ迫力に圧倒されました。


岩茶 慧苑肉桂
岩茶 慧苑肉桂

この慧苑で作られた岩茶の肉桂です。

慧苑坑という場所は正岩茶区の中心となる特別な地域です。その場所で育った武夷岩茶は特別な香気と味わいを持っています。正岩茶ならではの味わい、岩韻が素晴らしいこのお茶は、むせ返るような見事な花果香と質の良い岩茶特有の蜜蝋のような深み、ミネラル感、甘味がとても上品なバランスで同居しています。

岩茶本来の美味しさを知るのに最適な、最高のお手本のような武夷肉桂です。

残暑が厳しいこの時期にお勧めなのはフレッシュな普洱生茶です。普通に熱湯で淹れて楽しんでいただいても、アイスティーにしてもとても美味くお楽しみいただけます。

班盆 早春茶
班盆 早春茶

雲南省の有名な布朗山、その中にある老班章と程近い班盆という村で作られた2013年の普洱生茶です。今年に最初に摘み取られた茶葉で作られたお茶です。
完全に手作業で作られているため、良くある小沱茶の形ではなく、単純に丸めただけの形をしています。

先にご紹介させていただいている、班盆古樹純料谷花茶 2012年の妹分のようなお茶になります。

薄い金色の透明度が高いお茶は蜜のような、甘い樹液を連想するような香りと、ミネラル感のある深みのある甘さが心地よい美味しさです。とても柔らかく、出来たばかりの普洱生茶とは思えないような優しさは、班盆ならではの味わいです。

今はとてもフレッシュで美味しい味わいが楽しめますが、年月と共に緩やかに熟成もしていきます。段々と味に今とは違う深み、甘さが感じられるように変化し、5年、10年と経過したものは上質なブルゴーニュワインのような深みのある味わいになっていきます。
時間と共に変わっていく香気や味わいも楽しんでいただけるお茶です。

武夷山 水簾洞茶区

2013/9/4

武夷山 水簾洞茶区

武夷山では茶畑の見学もさせていただきました。

さすが武夷山。いたるところが茶畑になっています。武夷山風景名勝区の中はこんな景色が広がっています。茶樹を植えることが出来る場所は全て茶畑にされているかような景色です。暫くの間、茶畑を眺めながら大きな岩山の間を歩いて行きます。

武夷山 水簾洞茶区

一番多く栽培されているのは、やはり水仙種のようです。肉桂も多く植えられています。
どれも農薬を使用していないので葉は虫食いだらけですが、実際に製茶で使用する部分は新たに伸びた新芽の部分のみなので、それ以外の部分の虫の被害は気にしないようです。実際、歩いていて手のひらサイズの大きな毛虫や日本ではあまり見かけないような大きな鮮やかな色合のトカゲなどにも遭遇しました。

水帘洞(水簾洞)

山間にちょっとした開けた空間が現れます。 水帘洞(水簾洞)です。
遥か上の方から水が落ちてくる滝になっています。その下にあるのは水帘寺(水簾寺)というお寺です。大きさが実感していただければ良いのですが、実際はそのお寺も山(滝)の途中にあります。あまりにも高低差がありすぎて写真に収まりきりません。

武夷山 水簾洞茶区

この水簾洞にも茶畑があり、日本ではあまり知られていませんが、この付近は上質な茶葉が産出される茶区として知られています。
一番多いのはここでも水仙ですが、他にも様々な品種が植えられていて、一般の観光客が立ち入らないように柵で区切っていたり、観光ルートである遊歩道から外れた細い山道を通って行った先にあります。


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流香澗 雀舌

武夷天心岩の岩壁に数本だけ生えている大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。
慧苑坑と同じく三坑両澗と呼ばれる茶区の1つ、流香澗で作られた雀舌です。
雀舌は正岩茶区、半岩茶区、外山茶区を問わず数多く作られている品種ですが、流香澗で育てられたこの岩茶はそれらと同じ雀舌とは思えないほどに品格を感じる落ち着いた華やかさを持つ岩茶です。

大陸だけでなく、台湾のお茶もお勧めです。

凍頂烏龍茶 2013年春茶
凍頂烏龍茶 2013年春茶

鈴茶堂がイチオシの作り手による凍頂烏龍茶です。
近年主流の焙煎の浅いタイプではなく伝統的な製法を守って作られた凍頂烏龍茶になります。

最近は本来の産地以外で作られたものなども多く流通していますが、この凍頂烏龍茶は代々、伝統的な製法を頑なに守って作り続けています。その味わいはまさに本来の凍頂烏龍茶そのものです。

この作り手の凍頂烏龍茶には実質的な賞味期限はありません。
非常に製茶技術と焙煎技術が高いため一般的な烏龍茶よりも水分量が少なく、年月を経ることで後熟成が進み、柔らかさや味の深みがどんどん増してきます。湿度と匂い移り、高温を避けて保存していただければ10年と長く楽しめるものです。

今回はその後熟成の違いも実感していただこうと思い、とてもお得なビンテージ・収穫時期違いのセットをご用意しました。2012年の春茶の在庫が少なくなっているため、数を多くご用意できませんでしたが、是非この機会にその味わいの違いを体験していただければと思います。どうぞ好みの味わいを見つけてください。

凍頂烏龍茶 テイスティングセット

武夷岩茶研究所 工場訪問(審評室と毛茶加工)

2013/8/27

武夷岩茶研究所 工場

焙煎室の次は毛茶加工の部屋を見学しました。毛茶というのは日本語で言う荒茶のことで、武夷岩茶の場合は乾燥工程まで終了した、最終焙煎前の状態のお茶を指します。

毛茶はそのまま焙煎すれば良いという訳ではありません。最終焙煎を行う前にも様々な工程があります。

人の手と目で毛茶に付いている茎を取り除いています。同時に異物やゴミなどもこの工程で取り除かれます。茶葉の状態が分かりやすいように黒い板を下して1つ1つ確認して作業をしていきます。気が遠くなるような作業です。

武夷岩茶研究所 工場

この工場では9人でこの作業を行っています。訪問したこの時期はどの工場も最終焙煎工程に入っているため、みなさん時間を見つけてはこの作業を行っているようで、街中でこの光景が見られます。工場の軒先や道端でも行われています。(当店がお世話になっている工場では衛生管理の都合上、写真の専用作業室でしかこの作業は行いません。)

この工程で出た茎もまた美味しく楽しめます。「武夷岩茶」として販売されることはありませんが、茎茶として販売されるそうです。日本へも輸出されているそうで、もしかしたら茎茶の中には牛蘭坑肉桂の茎といったものも混じっているのかもしれません。
余談ですが、鉄観音の茎も同じように茎茶として販売されますが、人気があるのはお茶枕にすることです。流石に岩茶の茎は長くて大きいので枕に加工するのは難しいようです。

岩茶工場 篩分機

この機械は篩分機です。毛茶を茶葉の大きさで篩い分けします。

向かって右側から茶葉を入れて動かします。茶葉は大きさによって篩い分けられて、赤いレバーの下から出てきます。(実際に動かす時にはレバーの下に袋をセットします。)右から左にかけてだんだん大きな茶葉に篩い分けられていきます。
こうして茶葉の大きさを揃えてから再度人の目と手による最終確認と篩い分けが行われます。この最終確認工程は殆どの工場では行われませんが、この工場では必ず行っています。

武夷岩茶工場

こうして丁寧に加工された毛茶は最終焙煎工程に入ります。毛茶の状態になってからも、とても手間のかかる加工と確認を行っています。

まずは焙煎の方向性を決めるために審評室で毛茶の審評を行います。このお茶をどの程度焙煎するべきか、それともまだ寝かせて最終焙煎をいつにするかなどを決めます。

焙煎を終えた岩茶もまた同じく審評を行います。審評は品質責任者が中心になって行いますが、焙煎を行う工場長も必ず一緒に行います。
滞在中は基本的にこの審評室と焙煎室にいましたが、こんなにたくさんの岩茶を飲んだのは初めてという位、たくさんの茶葉を確認させていただきました。普段から審評を行っている私たちも圧倒される数の岩茶でした。


中国浙江省を代表する紅茶として知られる九曲紅梅が入荷しました。

伝統 九曲紅梅
伝統 九曲紅梅

この紅茶は福建省北部の武夷山付近から太平天国の乱の混乱を避けて浙江省のこの地へ湖埠へ移住してきた人々が作り出した紅茶と言われ、その名にある九曲は武夷山にある九曲溪から名づけられたものと言われます。

この紅茶の伝統的な茶樹品種は在来種である鳩坑小葉種ですが、実際には様々な品種が使われています。龍井茶の品種が使われているとも言われますが、このお茶は大湖山で栽培された伝統的な鳩坑小葉種のみを使って作られています。
とても技術の高い現地では非常に有名な作り手が、全て手作業で機械を使わずに作ったとても上質な九曲紅梅です。

もう1つの九曲紅梅は珍しい奇蘭種を使って作られたものです。

九曲紅梅 奇蘭
九曲紅梅 奇蘭

中国茶に詳しい方は奇蘭と聞いて不思議に思われると思います。奇蘭は福建省などにある青茶(烏龍茶)の茶樹品種です。この九曲紅梅に使われているのは台湾の奇蘭種です。
かつて、この地でお茶作りをしようとした台湾人が持ち込み、植えたまま放置されている奇蘭の茶畑があり、その半野生化した茶畑から摘み取って作ったものがこの九曲紅梅です。

こちらも全て手作業で機械を使わずに作られています。

四川高山紅茶
四川高山紅茶

品切れが続き、ご迷惑をおかけしていた四川高山紅茶が入荷しました。
当店でも一番人気の四川高山紅茶です。

今年4月の四川省雅安大地震では製茶所も被害を受け、紅茶の生産も危ぶまれていましたが、何とか自分たちで製茶所を直しながら製茶を行ったそうです。(本格的な修復は製茶が一段落したオフシーズンに行うとのことです)

現在も当店では四川のお茶の売上げの一部を地震の義捐金として寄付させていただいております。
そのお礼として今回、茶業さんからの仕入れ価格を下げていただき、以前よりもお求め安いお値段でご提供できることになりました。

武夷岩茶研究所 工場訪問(焙煎室)

2013/8/25

武夷岩茶研究所 工場

武夷山駅から市内へ向かい、地元の食堂で朝ごはんをいただいた後は、すぐに武夷岩茶研究所の工場を訪問しました。ここから数日間、この工場を拠点とさせていただき、武夷山の茶畑などの見学や焙煎技術のブラッシュアップをさせていただきました。

工場では丁度最後の火入れ工程が行われている最中で、焙煎室はフル回転状態です。衛生面にとても配慮していて、ゴミひとつ落ちていない非常に綺麗な焙煎室です。

火入れの工程はこの工場長が自ら行います。とても大事な工程であるため、決して他の人には任せないというこだわりようで、サウナのような室温の焙煎室でずっと作業しています。

武夷岩茶研究所 工場

火入れは全て炭火を使用しています。
これは炭火をそのまま使用してしまうと火力が強すぎてしまうため、炭の上に灰を被せて調節しています。

炭火を使った火入れはとても手間がかかるため、最近は電気式の焙煎機を使用するところが殆どになってきてしまいました。炭火を使った火入れを行っている工場は年々減ってしまい、今では少数派になってしまったとか。
この工場では今も炭火にこだわり、上質な武夷岩茶に至っては炭を作るところから行っています。

武夷岩茶研究所 工場

火入れは荒茶の状態にもよりますが、数時間行われます。状態をみながら火入れを行った岩茶はその度に評茶を繰り返し、評茶責任者と工場長が納得するまで火入れを行っていきます。中には暫く寝かせて(後熟成)させてから再度火入れを行っていくものも多く、数ヶ月から数年かかるものもあります。

武夷岩茶は火入れの技術で全く別のお茶のように変化するお茶ですが、この工場長が火入れを行った岩茶は本当に美味しく、深みのあるお茶になります。数々の岩茶を飲んできた私たちも、この工場長が作った岩茶は別格の美味しさを持ったお茶だと思っています。それにはこうした努力と譲らないこだわりがありました。


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青獅子岩 金牡丹

武夷岩茶の中でも最もお勧めはこの青獅子岩 金牡丹です。

金牡丹は福建省農科院研究所が作出した比較的新しい品種です。非常に香り高く、味わいも良いことから評価の高い品種ではあるものの、栽培量が極めて少なく、産地である武夷山はまだしも、中国でも金牡丹という品種を知らない人の方が圧倒的に多い希少な岩茶です。
その中でも青獅子岩と呼ばれる山深い場所で作られている金牡丹です。この青獅子岩で作られる岩茶は最高の味わい、香り、岩韻を備えています。同じ品種の岩茶でも他の場所で作られた岩茶とは全く別物と言って良いほど味わいと香りの深さがあります。
産地でもまず青獅子岩の金牡丹に出会えることはありません。

慧苑坑 鉄羅漢
慧苑坑 铁罗汉(鉄羅漢)

四大名欉として知られる鉄羅漢です。
本来の生産地は福建省武夷山のなかでも慧苑坑という場所ですが、現在では生産される鉄羅漢の殆どが慧苑坑以外の場所で栽培されています。
慧苑坑とは三坑両澗と呼ばれる、ワインで言うところのグランクリュ畑。その正岩茶区の中心となる地域で作られた素晴らしい岩韻を持つ鉄羅漢です。鉄羅漢という岩茶が本当はこんなに美味しいお茶だったのかと実感していただけると思います。