台湾・石錠の茶商の倉庫で発見された、民国60年、1971年の老茶です。忘れ去られていた包種老茶で非常に良い状態です。 4~5年前に作られた包種茶の老茶というのは本物、偽物を問わず見つけることはできますが、民国60年、1971年の老茶はまず出まわることはありません。現在は窒素肥料の使用などの問題が挙げられる台湾ですが、40年前には肥料はもちろん農薬も使われることもなく、現在の茶樹にはないパワーの感じられる上質な茶葉です。今となってはこのような良質な茶葉の入手が本当に難しくなりました。 葉の形がそのまま分かるような非常に綺麗な茶葉です。褐色の茶葉は艶がしっかり出ていて砕けもなく、本当に美しく、酸化している様子もなく、この状態で残っていたのが驚きです。葉の大きさは均一で、元々が非常に品質の高い茶葉であったことが分かります。 茶器は蓋碗をお勧めします。湯温は高温で、ただし繊細な茶葉ですのでお湯を注ぐときには優しくお湯の勢いをコントロールしながら注いでいただければより美味しく淹れていただけます。紫砂茶壷も適していますが、包種老茶用に良く鍛えている茶壷をお使いください。様々な種類の茶葉を使用していたり、鍛えが足りないような茶壷をご使用されますと、風味が茶壷によって吸い取られてしまったり、別のお茶の風味が混ざってしまったりします。 褐色の非常に綺麗な茶水は透明度がとても高く、表面の艶も強く感じることができます。1煎目のみ微かな陳香がありますが、落ち着いた花果香と火の香りが強く、非常に上品な良い香りをお楽しみいただけます。味は驚くほどに複雑な旨みと、とろりとした甘さ、南国の果実を思わせる柔らかい酸味が老茶とは思えないほどフレッシュに感じられます。それでいて老茶ならではの優しさ、柔らかさがあり、言葉では表現しきれない程に複雑な美味しさを持っています。 煎持ちは非常に良く、煎を重ねていくと、どんどんその表情が変わります。飲み進めると4煎目あたりから、花の香りを感じたり、甘みがどんどん強くなってきたりと、底が見えないお茶です。7煎目を越えたあたりからは甘さの他に、ほんのりとした塩気も感じます。全体を通して優しく柔らかい印象は変わりません。 十分に楽しんだ後は茶殻も鑑賞してみてください。中国茶では茶殻の形も楽しみます。大事に作られているのが伝わってくるような美しい茶葉をご確認いただけます。 関連ブログ: |