名称 |
岩茶 慧苑坑 白鶏冠 |
産地 |
中国・福建省武夷山慧苑坑 |
種類 |
青茶・烏龍茶(半発酵茶) |
等級 |
– |
茶水の色 |
|
このお茶に適した茶器 |
茶壷・蓋碗・ティーポット |
標準的な湯温 |
95~100℃ |
3年ぶりに白鶏冠を入荷しました。2024年の岩茶のサンプルの中で、この白鶏冠は特別でした。
白鶏冠というと独特の癖のある岩茶という印象が強いものですが、この白鶏冠はそれを覆す、全く次元の違う岩茶に仕上がっています。特に岩茶に詳しい方であればあるほど、この白鶏冠の凄さがわかります。この白鶏冠の凄さ、美味しさは、鮮葉の状態や製茶時の気温や天気、作り手の技術などの要因が合わさって出来る、すべてが最適な状態で生まれる天恵によるものです。狙ってつくれるお茶ではなく、この年、このロットのみの特別なお茶です。残念ながら毎年出会うことはできませんが、数年に一度出会える宝物のような白鶏冠です。
白鸡冠(白鶏冠)は岩茶の中でも四大名欉の1つとされ、岩茶の中でも特別なお茶の1つとされています。かつては薬として珍重されていたという歴史を持ち、今も現地では特別な岩茶として大切に扱われています。
岩茶はしっかりとした火入れ、焙煎を施すのに対して、白鶏冠は岩茶の中でも特別な浅い火入れを行います。そのため、元々の茶葉の品質や製茶技術の差がはっきりと出やすいお茶でもあります。
また、その製法の違いから、白鶏冠は「偽物」が出回りにくいお茶です。現実として岩茶には偽物が多く流通しています。焙煎を施した茶葉は品種の違いが分かりにくく、プロであっても正確にその品種を見分けることが難しいのです。そのため、武夷肉桂を大紅袍と偽って販売したり、水仙を肉桂と偽るということは残念ながら良くあります。この白鶏冠は他の品種のお茶とは全く異なるために偽物が出回ることがなく、四大名欉ということもあり、価格が高い傾向があります。
岩茶はその茶樹が武夷山のどこで栽培されたかで区別されます。武夷山風景区内の標高の高い地域にある岩山の自然環境で育てられて収穫された茶葉は正岩茶と呼ばれ、標高の低い地域のものは半岩茶(現在は標高に関わらず自然保護地区内で栽培されたものは全て正岩茶としていることが殆どのようですが当店では昔と同様の区分けを行い、標高の低い地域の「正岩茶」は取り扱いません)、武夷山の麓、平地で栽培されたものは州茶とされ、全く異なる地域で作られたものは外山茶と呼ばれます。これは育った環境の違いがお茶の香りと味に大きく影響するためで、岩茶本来のミネラル感や旨み、香気といった岩韻は正岩茶以外にはありません。不思議なようですが同じ武夷肉桂でも正岩茶と半岩茶、州茶では全く味も香りも異なります。
標高の高い厳しい岩山の隙間で育つ正岩茶は収穫量が少なく、平地のように畑を切り開く訳にもいかないため増産もできませんが、現在日本には肉桂をはじめ、沢山の岩茶が輸入されています。当然、中国国内での流通量はもっと多く存在していますが、正岩地区で採れるお茶がそんなに多くないのは容易に分かります。
とても美味しい岩茶ですので是非中国式で淹れることをおすすめします。ぜひ蓋碗で淹れてみてください。茶壺の使用は白鶏冠用に鍛えたものをお持ちでない限りお勧めいたしません。白鶏冠は岩茶の中でも特別な香りと味わいを持つお茶です。他の岩茶をお使いになっている茶壺を使用すると、本来の美味しさがわからなくなってしまいます。
味わいは質の良い岩茶特有の蜜蝋のような深みのある滋味と甘味が楽しめます。香りも高く綺麗な見事な花香で、それなりの品質の白鶏冠によく見られる独特の臭みやえぐみは一切感じられません。
高い技術を持つ作り手による機械を使わずに丁寧に製茶された「手工」のお茶です。お手元にあっても少しずつ後熟成していきます。時間の経過による味わいや香りの変化を楽しむこともできる上質な岩茶です。
2024年春茶
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