武夷岩茶の半天妖(腰)です。 半天妖は名欉と名高い品種のひとつですが、珍しい品種の1つです。清代頃には多く栽培されていたものの、その後次第に栽培されることが少なくなり、50年ほど前に改めて品種として保護されました。その後、栽培を増やそうとするものの、今も十分に増えているとは言えず、栽培量が少ない状態です。 岩茶はその茶樹が武夷山のどこで栽培されたかで区別されます。武夷山風景区内の標高の高い地域にある岩山の自然環境で育てられて収穫された茶葉は正岩茶と呼ばれ、標高の低い地域のものは半岩茶。武夷山の麓、平地で栽培されたものは州茶とされ、全く異なる地域で作られたものは外山茶と呼ばれます。これは育った環境の違いがお茶の香りと味に大きく影響するためで、岩茶本来のミネラル感や旨み、香気といった岩韻は正岩茶以外にはありません。 この半天妖の素晴らしいところは何と言っても煎ごとにその印象、味わいを変えて楽しませてくれるところです。最初はベッコウ飴のような深みのある甘い果香と思えば、煎をすすめていくときれいな花香に変化していきます。ほっこりと甘い味わいもまた、煎をすすめていくと沁み入るようなやさしい甘味に、次第にミネラル感や果実のような酸味で爽やかな味わいになったりと、さまざまな味わいを楽しませてくれます。まさに半天「妖」という名にふさわしい岩茶です。 大きさの揃った茶葉は細やかな艶をしっとりとたたえています。焙煎の程度は中程度です。 十分に楽しんだ後は茶殻も鑑賞してみてください。中国茶では茶殻の形も楽しみます。 岩茶というと肉桂や水仙がその代表と言われることが多くありますが、店主は半天妖がもっとも「岩茶らしい」と感じます。煎によって、淹れ方によってさまざまな表情を楽しませてくれ、かつ、いつでも岩茶らしさは失わない、そんなお茶です。 お客様のご希望で日本へ入荷した客注品の調整分です。そのため、日本国内の在庫は少なめとなります。 関連ブログ: |