この雀舌は武夷山の天心岩九龙窠という岩壁に数本だけ生えている大紅袍母樹の1つに起源する岩茶です。この有名な大紅袍母樹は「大紅袍」という品種ではなく奇丹、北斗、雀舌という数品種の茶樹で構成されています。雀舌には武夷山に最近持ち込まれた品種とするものもあるようですが、この雀舌は歴史ある大紅袍母樹にその起源を持つ品種になります。 雀舌は岩茶の中でも香り高く、味わい深い品種として知られていますが、この雀舌は中でも三坑两涧と呼ばれる、ワインで言うところのグランクリュ畑の1つに挙げられる流香涧(流香澗)で栽培された茶葉から作られています。岩茶研究所に所属する熟練した製作り手によるもので、1枚1枚の葉を大切に心をこめて製茶されました。 岩茶はその茶樹が武夷山のどこで栽培されたかで区別されます。武夷山風景区内の標高の高い地域にある岩山の自然環境で育てられて収穫された茶葉は正岩茶と呼ばれ、標高の低い地域のものは半岩茶(現在は標高に関わらず自然保護地区内で栽培されたものは全て正岩茶としていることが殆どのようですが当店では昔と同様の区分けを行い、標高の低い地域の「正岩茶」は取り扱いません)、武夷山の麓、平地で栽培されたものは州茶とされ、全く異なる地域で作られたものは外山茶と呼ばれます。これは育った環境の違いがお茶の香りと味に大きく影響するためで、岩茶本来のミネラル感や旨み、香気といった岩韻は正岩茶以外にはありません。不思議なようですが同じ岩茶でも正岩茶と半岩茶、州茶では全く味も香りも異なります。 正岩地区の中にも場所により味わいや香りの優劣があります。特に近年は過去には半岩茶とされていたような地域の岩茶も自然保護地区内にあるという理由だけで正岩茶として出荷されてしまいます。岩韻が感じられるのは昔ながらの正岩茶地区のもので、特にこの流香澗がある地域は最高品質の岩茶が作られる場所として知られています。同じ品種の岩茶でも他の場所で作られた岩茶とは全く別物と言って良いほどの味わいと香りの深さがあります。 砕けが殆ど見られない見事な茶葉です。茶葉の状態で既にこのお茶の質の高さを感じていただけることと思います。1枚1枚が存在感を持っています。しっとりとした艶が全体にあり、葉の大きさも比較的小さめの大きさで均一です。茶葉だけの状態で清涼感を感じる甘い香りがあります。 ティーポットで、中国式であれば茶壷や蓋碗で淹れてみてください。 煎持ちも非常に良く、上手く淹れれば10煎以上楽しむことができます。緑茶と違い、「宵越しのお茶」もできます。十分にお湯を切って涼しい場所で茶壷ごと保存すれば、翌日もその続きを楽しめます。次の日に再度お茶を淹れる際には熱湯で軽く1回洗茶してからお楽しみください。時間が経過しすぎて、室温が高すぎたなどの理由で茶葉が変質してしまった場合は飲用を中止してください。 十分に楽しんだ後は茶殻も鑑賞してみてください。中国茶では茶殻の形も楽しみます。実に美しく、艶があり、グラマラスな茶殻です。葉の1つ1つに神経を張り巡らせて丁寧に作られています。改めて芸術品のようです。この茶殻だけでもずっと眺めていたくなるような魅力があります。 ※ 缶入り装丁をご希望の場合はオプションでご指定ください。茶葉の量や形状などによってはお選びいただいた缶に入りきらない場合がございます。その場合は缶に入りきらない茶葉を別途袋装丁にてお届けいたします。装丁、缶の詳細はこちらをご確認ください。 ※ ギフト包装をご希望の場合は有料にて申し受けております。ご希望の場合はこちらからご注文ください。 関連ブログ: |