2012/12/7
茶山公園は祁門の街中にあります。
中には特に何がある訳でもないのですが
祁門の茶畑と製茶の様子を写したレリーフなどがあります。
ここに植えられている茶樹品種は祁門槠叶种(祁門櫧葉種)と呼ばれる祁門本来の品種です。1982年に安徽省の優良茶樹品種に、1984年には国家優良茶樹品種に認定されました。
この品種からは紅茶はもちろん、緑茶も作られ、現在は祁門の地以外にも浙江省、広東省、雲南省、福建省などを始めとする全国に移植されているそうです。
海外ではグルジア、ロシア、インド、日本、ベトナム、パキスタン、スリランカ、東アフリカ諸国でも栽培されているそうですが、日本ではどこで栽培されているのでしょうか?気になります。
実は祁門紅茶には茶樹品種の指定はありません。
実際には様々な品種で祁門は作られています。雲南大葉種で作られている祁門も実際には多く流通していますし、複数の茶樹品種をブレンドしていることも良くあります。おそらく流通している殆どの祁門は祁門櫧葉種以外で作られているのではないかと思います。
実際に目にする祁門の茶畑の茶樹品種は場所によってバラバラです。
(鈴茶堂の祁門紅茶は祁門櫧葉種です)
折角なので祁門紅茶には祁門櫧葉種を使って欲しいと思うところなのですが、栽培や製茶のしやすさや味、香りなどでそれぞれ選択が違うのでしょう。こういった違いもそれぞれの個性となって現れてくるんですね。
鈴茶堂の祁門は祁門櫧葉種を使って作られています。
昔ながらの手作業の多い方法で今も製茶を行なっています。祁門は祁門香と呼ばれる蘭の花の香りとリンゴなどの果物の香りがあります。
この祁門香をスモーキー(焙煎香)と例えられることがありますが、それは本当の祁門香ではありません。本来の祁門はスモーキーではあってはならないのですが、焙煎香のない祁門を作るのは難しく、流通する多くの祁門がスモーキーな製品ばかりの中、この祁門は純粋な祁門香をお楽しみいただけます。
芝蘭香は宋代から続く名叢の1つとされ、鳳凰単叢十大花蜜香型にも挙げられる鳳凰単欉です。
本来、芝蘭香は柏槇(ビャクシン)と蘭の香りを持つとされていますが、近年流通する殆どの芝蘭香にはこの柏槇の香りを感じることができなくなってしまっていました。
柏槇とはヒノキ科の針葉樹の1種で中国にあるものは日本のヒノキとは異なるそうですが、清涼感のある香りを持ちます。この芝蘭香はその柏槇香を感じていただける本来の香りを持った鳳凰単欉です。